2021.04.14
屋上防水の工事には4つの種類がある!施工方法やメリット、デメリットなどを詳しく解説
屋上防水の工事にはどのような種類があるか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
屋上防水の工事にはいくつかの種類があり、耐久性や施工内容がそれぞれ異なります。
防水工事を検討する際は、建物の状況や周辺環境を考えて施工する種類を選ぶ必要があるのです。
この記事では、屋上防水工事の種類やそれぞれの違い、メリット・デメリットなどを解説します。
施工業者の選び方もあわせて解説するため、これから屋上防水工事を予定している方はぜひご覧ください。
屋上防水とは
屋上防水とは、雨漏りを防ぐために屋上に防水工事を施すことです。
屋上防水が不十分だと屋根から水が染み込みやすくなり、天井の雨漏りへとつながります。
ビルオーナーや管理人は、所有する建物の屋上防水の点検や修繕を行う義務があります。
防水機能は年月とともに低下するため、適切なタイミングで屋上防水の工事を行わなければいけません。
屋上防水の耐用年数は、一般的に10年前後、施工方法によっては25年程度となります。
屋上防水に起きやすい劣化症状
屋上防水には、経年によってさまざまな劣化症状が起こります。
代表的な屋上防水の劣化症状は以下の3つです。
・ひび割れ
・浮き
・水溜まり
これらの劣化症状を放置すると、雨漏りが発生する恐れがあります。
思いもよらない雨漏りの発生によって、追加で修繕工事を行ったり、莫大な費用の出費が必要になったりする場合もあります。
雨漏りの発生を防ぐためにも、屋上防水の劣化症状は見逃せません。
以下にて、それぞれの劣化症状について詳しく解説していきます。
ひび割れ
防水層や下地にひび割れが生じているケースです。
屋上防水のひび割れは、経年劣化のほか、地震や強風で建物が揺れることでも起きてしまいます。
また、気温の変化によって防水層が膨張したり収縮したりして、亀裂が入るケースも考えられます。
ひび割れた隙間に雑草が根を張り、防水層の劣化を早めてしまうのも注意したい点です。
浮き
防水工事の施工から時間が経つと、防水シートがヨレたり、部分的にポコポコと膨れて浮き出たりします。
防水シートは専用の接着剤で下地に張り付けていますが、時間の経過とともに密着性が悪くなります。
また、防水層の下に結露や水蒸気が発生するのも、防水シートが浮く原因です。
防水シートが浮くと、隙間から雨が入り込み、雨漏りの原因となるため早めの補修が必要です。
水溜まり
屋上の排水機能が低下して水はけが悪くなると、水溜まりができやすくなります。
建物の揺れや経年劣化で下地がへこんだり傾きが変わったりして、排水されにくくなっている可能性があります。
また、排水溝の周りの落ち葉や汚れが溜まってしまい、雨水がうまく排水されていないということもあるでしょう。
屋上に長時間水が溜まった状態では、防水層の劣化をさらに早めてしまいます。
屋上防水の工事の種類
屋上防水の工事には、主に以下の4つの種類があります。
・FRP防水
・ウレタン防水
・シート防水
・アスファルト防水
各工事の特徴や施工価格、メリット・デメリットなどを解説します。
FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維で強化したプラスチックを屋上に塗布する工事方法です。
塗るタイプの防水工事は「塗膜防水」と呼ばれています。
耐用年数 | 10~12年程度 |
施工価格 | 1平方メートルあたり6,500~10,000円 |
メリットは4種類の工法の中では価格が安めで、硬化スピードがはやいため施工が1日で完了する点です。
また、FRPは軽量のため建物への負担が軽減できます。
そのため、高層マンションやオフィスビルにもおすすめの方法です。
デメリットは伸縮性があまり期待できず、建物が大きく揺れるとひび割れる可能性がある点です。
ウレタン防水
ウレタン防水もFRP防水と同じく、塗料を塗って防水層をつくる施工方法です。
ウレタン防水は、屋上防水の中でも代表的な工事方法です。
耐用年数 | 10~12年程度 |
施工価格 | 1平方メートルあたり6,500~12,000円 |
ウレタン防水には、「密着工法」と「絶縁工法」の2種類の工法があります。
密着工法とは、まずは下地の上にウレタン防水材を塗布します。
さらに補強材とウレタン防水材を重ねて、防水層を厚くする工法です。
複雑な形の屋上でも施工しやすいのがメリットとなります。
絶縁工法とは、専用シートの上からウレタン防水材を塗布して、通気を良くする工法です。
ひび割れが発生している屋上でも綺麗に仕上がります。
塗布するウレタン防水材は、夏場と冬場で硬化速度が変わります。
気温の低い冬場は硬化スピードが若干遅く、1日で施工が終わらない可能性があるため注意してください。
シート防水
ゴム製シートや塩化ビニールシートを張り付けて、防水層を作る方法がシート防水工事です。
シートのため厚みが均一となり、塗膜防水と比べると仕上がりの良さにばらつきがありません。
耐用年数 | 10~15年程度 |
施工価格 | 1平方メートルあたり8,000~15,000円 |
シート防水の張り方には、「接着工法」と「機械的固定工法」の2つの方法があります。
接着工法とは、下地に塗布した接着剤の上から防水シートを張り付ける方法です。
機械的固定工法では、まずは下地の上に緩衝材を敷き、ビスや固定金具を取り付けます。
上からたるみやヨレがないように防水シートを張り付けたら完成です。
シート防水は、古い防水層を撤去せずに施工できる場合があります。
下地処理の手間が軽減するため、短時間で施工が完了するのがメリットです。
一方、シートを張り付けるため、複雑な形状やでこぼことした屋上には向いていません。
アスファルト防水
アスファルト防水は昔からある屋上防水の工事方法です。
耐用年数 | 15~25年程度 |
施工価格 | 1平方メートルあたり11,000~22,000円 |
アスファルト防水には、3種類の工法があります。
・熱工法
・トーチ工法
・常温工法
熱工法とは、熱して液状化にしたアスファルトと防水シートを交互に重ねていく施工方法です。
トーチ工法は、防水シート裏のアスファルトをトーチバーナーで炙って溶かして、下地と密着させていきます。
常温工法では、アスファルトが加工された、裏面に粘着性があるシートを交互に張り付けて防水層を作ります。
ほかの工事と比べて、アスファルト防水の価格相場は高めです。
しかし、その分高い耐久性を持っているため、耐用年数が長く、今後の屋上防水工事の回数を減らせるメリットがあります。
アスファルト防水の熱工法やトーチ工法は、工事中に煙や匂いが発生します。
近隣住民へ配慮して工事を行いましょう。
施工する屋上防水の種類の選び方
実際に屋上防水の工事を行う際、4種類ある施工方法の中からどのタイプを選べばいいのか、わかりやすく解説していきます。
4種類の工事別に、施工に向いている屋上タイプも紹介します。
FRP防水
耐久性や耐水性、耐熱性などすべてにおいてバランスがいいFRP防水は、基本的にどんな屋上タイプへの施工もおすすめです。
マンションやビルの屋上はもちろん、屋上駐車場の防水工事にも適しています。
施工完了までの期間が短いため、人の出入りが多い屋上でも安心して施工できます。
ウレタン防水
液状のウレタン防水材を塗装するため、設置物が多い屋上への施工におすすめです。
狭いスペースでも施工しやすく、屋上以外ではバルコニーの防水工事にも向いています。
ただし、乾燥に時間がかかる点に注意しましょう。
人の出入りがよくある屋上の場合、ウレタン防水工事は避けた方がよいでしょう。
シート防水
シートを張り付けるシート防水は、表面が平らで広い屋上に向いています。
一方、でこぼこしている屋上では施工が難しく、仕上がりに差が出る可能性があります。
また、臭いが発生しない施工方法のため、近隣住民とトラブルを起こしたくない場合にも最適な工法です。
アスファルト防水
アスファルト防水は、防水工事の施工頻度を抑えたい場合におすすめです。
長ければ25年先まで屋上防水の工事が不要となり、ほかの施工方法よりも2倍程度の期間長持ちします。
ただし、アスファルトを熱した際、匂いや煙が発生する点に注意が必要です。
アスファルト防水のうち常温工法ではない方法で施工する場合は、近隣住民の理解を得ておきましょう。
屋上防水の施工を安心して依頼できる業者を選ぶ際のポイント
屋上防水の工事を安心して依頼するためには、いくつかのポイントを押さえて業者選びをしましょう。
屋上防水は建物の雨漏り被害を防ぐ大切な工事となるため、依頼するなら安心して任せられる業者を選びたいところです。
とはいえ、どのような業者なら信頼できるかわからない方も多いでしょう。
ここでは、屋上防水を依頼する際の業者の選び方を3つ紹介します。
屋上防水の施工経験が豊富である
屋上防水の施工経験が豊富な業者は、さまざまな屋上タイプに対応できる可能性が高いです。
屋上とひと言でいっても、形状や周囲の環境はそれぞれ異なります。
屋上に合っていない施工方法を選ぶと劣化が早まったり、防水効果を十分に得られなかったりします。
経験が豊富な業者なら、これまでの施工ケースをもとに最適な屋上防水を行ってくれます。
防水施工技能士の資格を取得している職人がいる
防水の施工技術が認められた「防水施工技能士」の職人がいる業者は、安心して工事が依頼できます。
防水施工技能士とは、防水工事を行う上で高い技術力と豊富な知識を持っていると認定された資格です。
防水施工技能士は国家資格であり、最低でも2年以上の実務経験がないと受験できない資格です。
在籍している職人に防水施工技能士の資格取得を推奨している業者もあります。
防水施工技能士を保有している職人が多く在籍している業者は、技術力のある、安心して工事を依頼できる施工会社といえます。
現場監督の対応が丁寧である
現場監督が丁寧に対応してくれる業者は、依頼主の意見や要望をきちんと伝えやすくなるため安心して依頼できます。
現場監督は、工事を取り仕切る立場です。
意思疎通が上手くいかないと、施工後に不満が生まれる要因となります。
また、屋上防水に限らず工事中は近隣からのクレームが出やすくなります。
そんな時、現場監督の対応が迅速かつ丁寧であれば、問題が大きくならずに済むでしょう。
屋上防水は工事の種類ごとの特徴を把握して施工しよう
屋上防水には4種類の施工方法があり、屋上のタイプによって向いている工事が変わります。
FRP防水やウレタン防水は塗膜防水のため、でこぼこした屋上でも施工しやすいです。
シート防水は広くて平らな屋上に向いており、工事中の嫌な臭いも発生しません。
また、アスファルト防水は耐久性や耐水性に優れており、昔から信頼度の高い防水工事の方法です。
屋上の形状や周辺環境などを考慮したうえで、最適な屋上防水工事を施工しましょう。
業者の選び方は「防水工事の業者の選び方とは?押さえておくべきポイントを徹底解説!」で詳しくご確認いただけます。