2021.03.01
ビルの外壁塗装はどうして必要?塗装時期や費用、注意点などを一挙解説!
「ビルの外壁塗装はどうして必要なのか?」
「外壁塗装するなら費用はどのくらい?」
こんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ビルは長持ちさせるためにも、定期的に外壁塗装をする必要があります。
しかし、一般住宅とは規模も工事内容も大きく異なるため、費用や注意点などを押さえておかなければなりません。
そこで今回は、
・ビルの外壁塗装が必要な理由
・外壁塗装をするタイミング
・外壁塗装にかかる一般的な費用
・外壁塗装の際の注意点
などを紹介していきます。
ビルの外壁塗装を考えられている方は、ぜひこの記事を参考にしながらご自身のケースに当てはめて検討してみてください。
ビルの外壁塗装をする理由
ビルを外壁塗装する理由は、大きく分けて3つあります。
・ビルの外観をきれいに保つ
・ビルの耐久性を維持する
・ビルの資産価値を向上させる
ビルを外壁塗装する理由は、オーナーならぜひ押さえておきたい点です。
上記の3つの理由を把握しておくと、ビルの外壁塗装の大切さをより理解できます。
それぞれの理由を、以下で詳しく見ていきましょう。
ビルの外観をきれいに保つ
ビルの外壁塗装が必要な理由の1つは、建物の外観をきれいに保つためです。
ビルの外壁は年数が経過すると、塗膜が剥がれたり、色あせたりするため、外観が悪くなっていきます。
ビルの外観の良し悪しは、入居率や人気に大きく影響します。
居住者や店舗オーナーなどの借主も、見た目の悪い建物には入りたくないと思うのが一般的です。
反対に、築年数が経過したビルでも丁寧に手入れされていれば、人気の物件となり、新規の入居率アップにつながります。
既存の借主の定着率も向上することでしょう
多くの人に長く入居してもらい、安定した黒字経営にするためにも、ビルの外壁塗装は必要といえます。
ビルの耐久性を維持する
ビルの外壁塗装が必要な理由は、建物の耐久性を維持するためでもあります。
ビルの基礎となるコンクリートと鉄は、水分が弱点です。
そのため、外壁塗装によってビルを雨や湿気から守るのです。
しかし、外壁の塗膜が剥がれると、水分がコンクリートや鉄へ伝わりやすくなり、ビル全体の耐久性が劣化します。
例えば、塗装が剥がれてビル表面のコンクリートにカビやコケが生えると、雨漏りの原因となり大規模な修繕工事が必要です。
大規模な修繕をするとなると、工事価格は高額となります。
定期的に外壁塗装を行うことで、将来かかるであろうトータルの修理費用を抑えながらビルの耐久性を維持できます。
ビルの資産価値を向上させる
ビルの外壁塗装が必要な理由に、ビルの資産価値を向上させる点も挙げられます。
ビルは築年数が経過すると、資産価値が減少していくのが一般的です。
資産価値の減少を遅らせるためには、定期的なメンテナンスをする必要があり、建物のケア方法の1つとして外壁塗装が挙げられます。
基本的に、古いビルが新築の資産価値を超えることはありません。
しかし、古いビルでも以前より性能を高める「改良」を行うことで、部分的に資産価値が向上するケースがあります。
外壁塗装においても、より性能の高い塗料を使用して、劣化した箇所を改良していくことで資産価値を高められます。
外壁塗装は大規模な改良工事よりも費用は抑えられるため、築年数が経過しているビルほど、外壁塗装にこだわってみることをおすすめします。
ビルの外壁塗装をするのはどんなとき?
ビルの外壁塗装をするタイミングは、以下の4つが挙げられます。
・塗膜が劣化してきた
・塗装面の汚れがひどくなってきた
・塗装の耐用年数が近づいてきた
・イメージチェンジがしたくなった
上記を参考にして、ご自身のケースが外壁塗装すべきタイミングに当てはまるか参考にしてください。
それぞれの内容を、1つずつ詳しく見ていきます。
塗膜が劣化してきた
ビルの外壁塗装をするタイミングに、塗膜が劣化してきたときがあります。
塗膜の劣化は大きく5つの症状に分けられます。
・色あせ
・剥がれ
・膨れ
・チョーキング
・クラック
症状を1つずつ解説していきましょう。
色あせ
塗膜の劣化の症状には、色あせがあります。
色あせは簡単に言うと、外壁の色が薄くなる症状です。
紫外線や雨風の影響、酸性雨による酸化が原因で、色あせは起こります。
色あせは塗料が持つ防水効果が落ちるため、外壁が紫外線や雨風にさらされると、カビやコケの発生につながります。
また、塗膜の剥がれやチョーキングの原因にもなる場合もあるのです。
外壁を長持ちさせるためにも、色あせが見られた時点でなるべく早く塗装し直すことをおすすめします。
剥がれ
塗膜の劣化の症状に、剥がれがあります。
剥がれの発生も色あせ同様に、塗装面の下地が紫外線や雨風にさらされる原因となるため、外壁の耐久性に影響してきます。
剥がれの主な原因は、使用している塗料の耐用年数に近づくことで起こる場合と、施工不良が原因の2つのケースです。
施工不良には下地の処理や下塗りが不十分であったり、下地と塗料の組み合わせや希釈が不適切だったりなどの理由が挙げられます。
耐用年数に達していないのに塗料の剥がれが見られた際は、業者に相談してみましょう。
膨れ
塗膜の劣化の症状には、膨れもあります。
膨れは塗膜の表面が水膨れのように盛り上がり、気泡のような部分ができる症状です。
膨れが起きると、盛り上がった部分から塗料が剥がれて、外壁がむき出しになってしまいます。
主な原因は剥がれ同様に、耐用年数の経過と施工不良の2つです。
また、外壁自体が何らかの原因で水分を含んだ状態で塗装をしてしまうと、日光で温められた湿気が内側から塗料を浮き上がらせるケースもあります。
剥がれや膨れが施行不良によるものであれば、保障で修理してもらえる場合が多いため、業者に相談してみましょう。
チョーキング
塗膜の劣化の症状には、チョーキングがあります。
チョーキングとは、外壁を指で触れた際に白い粉が付着する症状です。
チョーキングは紫外線による塗膜の劣化が主な原因であり、日当たりのいい南側や日陰のない外壁、またはバルコニーなどに起こります。
チョーキングは外壁塗装が防水機能を失ってきているサインの1つです。
そのため、チョーキングを放置すると外壁が雨水にさらされて、カビやコケの原因となります。
チョーキングは素人でも判断しやすいため、気になる方は外壁の状態を指でチェックしてみてください。
クラック
塗膜の劣化の症状には、クラックがあります。
クラックは外壁に細いひび割れが現れる症状のことで、塗膜に発生している場合は「ヘアクラック」といいます。
ヘアクラックは、紫外線によって劣化した塗膜が下地の伸縮性に耐えられずにひび割れてしまうため発生します。
ヘアクラックが起きると、ひび割れしている部分から雨水が外壁へ浸透して、内部の腐食につながるため早めの補修が必要です。
また、クラックの幅が0.3ミリ以上の場合、外壁もひび割れている可能性があるため、業者に調査や補修の相談をしてみましょう。
塗装面の汚れがひどくなってきた
ビルの外壁塗装をするタイミングには、塗装面の汚れがひどくなってきたときがあります。
外壁の汚れの原因は、主に以下の5つです。
・コケ
・カビ
・ホコリ
・チリ
・排ガス
掃除をしてきれいになる場合もあれば、何年もの汚れが重なり、簡単には取れないケースもあります。
また、気づかないうちに汚れが外壁の中に侵食して、建物がダメージを受けている場合もあります。
そのため、掃除で落ちない汚れが目立ち始めた場合は、業者に相談して高圧洗浄や外壁塗装でのメンテナンスを検討しましょう。
塗装の耐用年数が近づいてきた
ビルの外壁塗装の耐用年数が近づいてきたときが、塗り直しのタイミングです。
外壁塗装の耐用年数は、約10〜20年です。
ビルの大規模修繕工事や防水工事なども、12年周期で行われるのが一般的です。
一生劣化しない外壁塗装はなく、耐用年数を過ぎれば、どれだけ技術力の高い業者が施工しても問題が起きてきます。
そのため、耐用年数が近づいてきたタイミングで外壁塗装を検討しましょう。
なお、外壁に使用している塗料によって塗装のタイミングは異なります。
前回使用した塗料の耐用年数を調べてみましょう。
イメージチェンジがしたくなった
ビルの外壁塗装をするタイミングに、 建物のイメージチェンジがしたくなった場合もあります。
ビルの古い印象をなくしたい、今までのカラーとは異なる色味で印象を変えたいなどの理由で外壁塗装をする方も多いでしょう。
イメージチェンジをすることで、ビルの借主の入居率アップにもつながる場合があります。
外壁塗装を検討している方は、思い切ってこれまでとは異なるカラーを検討するのもおすすめです。
どんなカラーに変更するといいか、業者へ相談してみましょう。
ビルの外壁塗装で使用される塗料のタイプ
ビルの外壁塗装で使用される塗料のタイプには、主に以下の7つがあります。
・アクリル系塗料
・ウレタン系塗料
・シリコン系塗料
・ラジカル系塗料
・フッ素系塗料
・無機系塗料
・光触媒系塗料
それぞれの塗料タイプの特徴やメリット、デメリットを把握した上で、ご自身の希望に合った種類を選んでください。
以下で塗料タイプ別に詳細を説明していきましょう。
アクリル系塗料
アクリル系塗料はアクリル樹脂を使用した、ツヤと発色の良さと高いデザイン性を持つ塗料です。
耐用年数は5~7年で、1平方メートルあたりおよそ1,900~3,000円が相場です。
メリットは価格の安さであり、何度も塗り替えを行う場合に塗装費用を安く抑えられます。
また、浸透性も高く、凸凹した外壁や湿気のこもりやすい場所にも使用できます。
デメリットは、耐用年数が短い点です。
アクリル系塗料の耐用年数は、ほかのタイプの塗料と比べると短いです。
アクリル系塗料を使用した場合、頻繁に塗り替えを行わなければなりません。
ビルの外壁塗装は頻繁に行えないため、アクリル系塗料はおすすめできません。
ただし、ビルの一部に使われることはあります。
外壁のペイントを定期的に変更する商業ビルの塗装に使われる場合があります。
また、10年以内に取り壊しの決まっている住宅や、倉庫などに使われることも多いです。
ウレタン系塗料
ウレタン系塗料はウレタン樹脂を使用した、弾力性のある塗料です。
耐用年数は8〜10年で、1平方メートルあたりおよそ2,100~3,100円が相場です。
メリットは密着性が高く、防水機能に優れている点です。
雨に濡れやすい箇所や木部には、ウレタン系塗料が適しているといえます。
また、弾力性もあるため塗装面のひび割れを防ぎやすい点もメリットに挙げられます。
デメリットは、耐用年数が短い点です。
雨に強くひび割れにくいとはいえ、耐用年数が短いため短い期間での塗り替えが必要になります。
また、耐熱性も低いため、陽の当たりやすい箇所への塗装には適していません。
シリコン系塗料
シリコン系塗料は、アクリルシリコン樹脂を使用した光沢感のある塗料です。
耐用年数は10〜15年で、1平方メートルあたりおよそ2,700〜4,000円が相場です。
メリットは価格と機能のバランスが取れている点です。
耐水性、耐熱性ともに高く、また防水性、防汚性にも優れています。
一方で、グレードが下のウレタン系塗料と価格が大きく変わらないため、コストパフォーマンスが高い塗料といえます。
上記のような理由から、シリコン系塗料は外壁の塗装で最もよく使われている塗料です。
デメリットは、扱いにくい点です。
密着性が弱い傾向にあり、適した下塗り材を選ぶ必要があります。
また伸縮性も弱いため、ひび割れが起こりやすいです。
しかし、耐用年数や性能、価格のいずれも平均的なため、外壁塗装でどの塗料を選べばいいかわからない人は、シリコン系塗料がおすすめです。
ラジカル系塗料
ラジカル塗料は、塗料の劣化因子であるラジカルを抑えたつくりの塗料です。
耐用年数は14~16年で、1平方メートルあたりおよそ3,000~4,300円が相場です。
メリットは耐久性に優れている点で、太陽光や風、雨などによる塗膜の劣化を抑えます。
シリコン系塗料よりも紫外線や雨風に強いです。
デメリットは、色のバリエーションが少ない点が挙げられます。
ラジカル系塗料の主成分である「高耐候酸化チタン」は白色顔料のため、黒系のカラーを選べません。
また、2012年に登場した塗料のため、耐用年数の実績がはっきりとせず、建物の条件次第では耐用年数が短くなることも考えられます。
ラジカル系塗料が気になる方は、業者に相談してみることをおすすめします。
フッ素系塗料
フッ素系塗料は、主成分の合成樹脂にフッ素が含まれている、塗料の中でもハイグレードな塗料です。
耐用年数は15〜20年で、1平方メートルあたりおよそ3,700〜4,700円が相場となります。
メリットは、性能の高さです。
耐水性や耐熱性、防水性、防カビ性など、あらゆる面で性能に優れています。
また、親水性も高いため、外壁についた汚れと塗料の間に水が入り込みやすくなるのです。
水が入り込むことで、汚れが浮いて雨で流れ落ちやすくなります。
掃除の手間が省けるため、フッ素系塗料はメンテナンスが大変なビルや大型の商業施設などに使われることが多いです。
デメリットとしては、価格が高いことです。
最も安いアクリル系塗料と比べると、およそ2倍以上の価格になります。
しかし、耐用年数が長いため、塗装にかかるトータルの費用は削減できます。
そのかわり、一度の外壁塗装に必要な費用は、足場代も含めると高額になることを押さえておきましょう。
無機系塗料
無機系塗料は、セラミックやケイ素など無機物(炭素を含まない)を主成分とした塗料です。
耐用年数は20〜25年で、1平方メートルあたりおよそ5,000〜5,500円が相場です。
メリットは、耐久性が高い点です。
紫外線で劣化しない無機物が主成分のため、耐久性は通常の塗料と比べてもかなり優れています。
また、微生物の栄養となる有機物が少ないため、カビとコケの発生を抑えられます。
さらに、無機物は燃えにくいため、耐火性があることもメリットです。
デメリットは、価格の高さです。
一般的な住宅の外壁塗装に使われるシリコン系塗料の2倍近くの価格となっています。
また、無機物が多いことから塗膜が硬く、ひび割れしやすいです。
扱いづらい塗料でもあるため、仕上がりが施工する職人の技術に左右されます。
光触媒系塗料
光触媒系塗料は、酸化チタンを主成分とした塗料です。
耐用年数は約10~15年で、1平方メートルあたりおよそ5,000〜5,500円が相場となります。
メリットは、セルフクリーニング機能がある点です。
塗装面が汚れにくくなるつくりを、セルフクリーニング機能といいます。
主成分である酸化チタンが太陽光を受けることで外壁の汚れを分解します。
さらに高い親水性によって、外壁の汚れが雨で流れ落ちやすくなるのです。
デメリットとしては、太陽が当たりにくいところでは効果を発揮しない点です。
セルフクリーニング機能は太陽光の力で汚れを分解するため、日差しの当たらないところでは効果が低くなります。
また、扱いづらい塗料でもあるため、職人の技術によって塗装の仕上げに差が出ます。
業者に塗装を依頼する際は、光触媒系塗料を使った施工実績があるかを確認しましょう。
ビルの外壁塗装の一般的な流れ
ビルの外壁塗装の一般的な流れは、以下になります。
1.足場設置
2.高圧洗浄
3.養生
4.下地処理
5.下塗り
6.中塗り
7.上塗り
それぞれのステップの内容と、注意点を詳しく解説します。
工事の流れを知るためにも、しっかりと確認していきましょう。
足場設置
ますは足場設置です。
ビルの外壁塗装は高所での作業になるため、作業者の安全性を確保するため、足場の設置が必要となります。
しかし、施工箇所によっては「無足場」となる場合もあります。
足場を設置する場合と無足場にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、以下で2つの方法の特徴を詳しく見ていきましょう。
足場付きとは
「足場付き」はビルのまわりに足場を組む、外壁工事では一般的な方法です。
メリットは足場が安定するため、作業者が集中して作業できる点です。
塗料の効果を最大限に発揮するためには、丁寧な塗装作業が欠かせません。
満足のいく仕上がりを求める場合は、安定した足場の設置は必要といえます。
また、足場のまわりに目の細かいネットを張ることで、塗料やホコリが近所へ飛散するのを防げます。
住宅街や建物が密集している地域では、外壁の塗装中に近所に迷惑が掛からないように配慮するためにも、足場が必要です。
デメリットは、建物の景観が良くないことです。
テナントが入っているビルの場合、足場によって看板や広告などが隠れてしまうため、外に掲示板を置く対策をしなければなりません。
また、足場設置のコストもかかります。
しかし、作業者の安全確保と丁寧な塗装作業のためには、安定した足場があると安心です。
足場代がかかりますが、外壁塗装を成功するためのコストと考えましょう。
無足場とは
「無足場」は足場を組み立てず、ロープやゴンドラをビルの上から吊るして塗装作業を行う方法です。
高層ビルや部分塗装の場合に利用されることが多く、一般的なマンションでは利用しません。
メリットは、コストを抑えられる点です。
無足場の場合、建材や足場を組み立てる期間、設置のための人件費などが必要ありません。
そのため、足場を組む場合よりも費用を抑えられます。
また、足場を組み立てるスペースがなくても塗装作業ができる点もメリットです。
デメリットとしては、ビルの形状によっては対応できない点です。
例えば、三角屋根の建物はロープやゴンドラを吊るせないため、対応できません。
また、無足場の場合、施工者のみしか塗装箇所を確認できません。
そのため、仕上がり具合は施工者に委ねることになります。
高圧洗浄
足場の設置をしたら、高圧洗浄で塗装面の洗浄を行います。
汚れが付着していると、塗料が付着しにくくなるためです。
高圧洗浄にかかる水道代は、家主の負担となります。
水道代がいくらくらいになるか気になる方は、事前に業者と相談しておきましょう。
また、洗浄後は少なくとも24時間以上の乾燥時間が必要です。
養生
高圧洗浄を終えた外壁が乾燥したら、塗装しない箇所に養生をしていきます。
養生とは、施工する箇所以外に塗料が飛ばないように、テープやシートを張る作業です。
塗装をきれいに行うためには養生が欠かせません。
ビルの場合、養生をしている間は窓が開けられなかったり洗濯物を外に干せなかったりするため、事前にテナントや入居者に告知しておきましょう。
下地処理
養生が終われば、下地処理をしていきます。
下地処理は外壁のひび割れやキズ、破損などを補修する作業です。
下地処理を行わないまま塗料を塗ると、塗膜のひび割れや剥がれにつながります。
塗膜の耐久性を高めるためにも、丁寧な下地処理が必要です。
下塗り
下地処理を終えたら、下塗りをしていきます。
下塗りが必要な理由は主に2つです。
・外壁材と塗料の接着力を高める
・外壁材への塗料の染み込みを防ぐ
性能の高い塗料も、下地に密着しなければ効果を発揮しません。
塗料の効果を最大限高めるためには、下塗りが必須です。
また、下塗りをせずに中塗り塗料を直接塗装すると、気泡の発生や染み込みが発生して外壁を傷めることにつながります。
そのほかにも、外壁に塗料がしみ込むことで色ムラができる恐れもあります。
綺麗な塗装面に仕上げるためにも、下塗りも欠かせない工程のひとつです。
中塗り
下塗りが乾燥したら、次は中塗りを行います。
中塗りを行って塗膜のデコボコをなくすことで、上塗りを綺麗に仕上げられます。
また、下塗り塗料と上塗り塗料の密着性を高めるためにも、中塗りは必要です。
上塗り
中塗りの次は上塗りを行います。
上塗りは中塗りでできた色ムラをなくす、仕上げの工程です。
そのため、中塗りと上塗りでは同じ塗料を使います。
外壁塗装では塗料の効果を高めるために、3回以上塗るのが一般的です。
1回だけの塗装では雨風や紫外線に耐えられる塗膜はできません。
また、3回以上の塗装を行うことで、外壁全体を均一にきれいに仕上げられます。
ビルの外壁塗装の費用相場
ビルの外壁塗装の費用相場は、1回目の大規模修繕で1平方メートルあたり3,000〜5,000円ほどです。
足場の設置費用が必要な場合は、1平方メートルあたり700〜950円がプラスでかかります。
また、使用する塗料によっても費用は異なります。
ビルの外壁塗装を行う際の注意点
ビルの外壁塗装を行う際の注意点として、以下の4つが挙げられます。
・ビルの入居者に早めの告知をする
・臭い対策を周知する
・近隣へも塗装工事のお知らせをする
・防犯対策をする
上記の注意点を押さえずに外壁塗装を行うと、大きなトラブルにもつながる恐れがあります。
注意点を1つずつ以下で詳しく見ていきましょう。
ビルの入居者に早めの告知をする
ビルの外壁塗装を行う際は、入居者や企業、テナントへ早めの告知をしましょう。
入居者であれば、洗濯物を外に干したり冷暖房を使用したりなど、外壁の塗装時に生活が不便になることがあります。
企業やテナントであれば、来訪者に不便を強いる場合や、来客時にお店の場所がわかりづらくなることがあります。
事前に外壁塗装の予定を知らせておくことで、入居者も早めに対策を取ることができるでしょう。
臭い対策を周知する
ビルの外壁塗装を行う際は、臭い対策も周知しましょう。
特に大きなビルの場合、大量の塗料を使用するため、臭いがきつくなります。
そのため、塗料の臭いが入居者の衣服に付着してしまったり、悪臭が原因で体調が悪くなったりしてしまうケースも考えられます。
外壁塗装の工期や作業時間を事前にお知らせして、マスクの着用や換気などの対策を行ってもらうように伝えましょう。
近隣へも塗装工事のお知らせをする
ビルの外壁塗装を行う際は、近隣へも塗装工事のお知らせをしましょう。
工事の際の騒音や臭いは、入居者のみではなく、近隣の方へも影響します。
事前にお知らせしておかないと近隣トラブルにもつながるため、工事前には告知とあいさつをしておくことが大切です。
防犯対策をする
ビルの外壁塗装を行う際は、入居者に対して防犯対策を促しましょう。
ビルのまわりに足場を組むことで、空き巣に入られる可能性があります。
特に高い階は、普段空き巣の心配がないことから窓の鍵を閉めない傾向にあります。
外壁塗装時に空き巣被害がでてしまうと、家主が賠償するケースもあるため、防犯対策は必ず行いましょう。
外壁の塗装時の主な防犯対策として以下の3つがあります。
・施錠をしてカーテンを閉める
・足場に部外者が入れないようにする
・防犯装置を設置する
外壁塗装の工期の間に、入居者が安心して過ごせるためには犯罪が発生しないように対応することも大事なポイントです。
ビルの外壁塗装に適した季節とは?
ビルの外壁塗装に適した季節は、春と秋です。
塗料は、「気温5度以下、湿度85パーセント以上」の環境下であれば乾燥が遅れてしまいます。
そのため、上記の条件をクリアする日が多い時期の春と秋が、外壁塗装を施工するのにおすすめの季節です。
季節ごとのメリット・デメリットは以下になります。
【春】
メリット:気温、湿度ともに安定している
デメリット:予約が取りにくい
【夏】
メリット:業者の閑散期なので予約が取りやすい
デメリット:台風が来ると工期が遅れる
【秋】
メリット:気温、湿度ともに安定している
デメリット:台風により工期が遅れる
【冬】
メリット:費用を安くしてもらえることがある
デメリット:降雪地域は湿度が高くなり、気温も下がる
冬も塗装業者にとっては閑散期となる場合があるため、費用を安くしてもらえることがあります。
ご自身の要望に合った時期に外壁塗装を行うようにしましょう。
ビルの外壁塗装を成功させるためのポイント
ビルの外壁塗装を成功させるためのポイントには、優良業者に依頼することが挙げられます。
優良業者は塗装の技術も高いため、失敗することが少ないです。
また、余計に高い塗料を使用する、費用が相場と見合わないなどの詐欺に合うことも防げます。
優良業者を選ぶには、以下の5つのポイントを押さえておく必要があります。
・相見積もりして業者を比較する
・資格を保有しているか確認する
・顧客からの口コミをチェックする
・ビルの外壁塗装の経験が豊富か確認する
・施工後の保証が充実しているか確認する
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
相見積もりして業者を比較する
優良業者を探すために、相見積もりして業者を比較しましょう。
相見積もりは複数社に依頼して、それぞれ見積もりを出してもらうことです。
相見積もりをすることで、かかる費用や価格の内訳を比較して、適切な内容かどうかを確認できます。
素人が外壁塗装の妥当な金額を判断するのは難しいです。
しかし、複数社を比較することで、費用の違いや内訳内容から最も適した業者に依頼できます。
また、内訳を細かくわかりやすく出してくれる業者は優良業者といえるので、チェックしておきましょう。
資格を保有しているか確認する
優良業者を探すためには、資格を保有しているかも確認しましょう。
資格取得には知識と技術、学ぶ姿勢が必要です。
資格を保有している業者は、工事の品質の向上を目指している業者といえます。
特に、なくても営業できる資格をわざわざ保有しているかどうかは確認する際の重要なポイントです。
業者を優良かどうかを見分けるためには、資格の有無や内容を確認しましょう。
優良な業者が保有している資格の例として、以下の3つがあります。
・塗装工事業許可
・塗装技能士
・外壁塗装マイスター
特に塗装技能士の一級は、受験するためには実務経験が7年以上も必要となる場合がある、難易度の高い国家資格です。
塗装技能士一級を保有している業者は、高い技術力と知識、経験を備えた優良業者であるといえます。
顧客からの口コミをチェックする
優良業者を探すためには、顧客からの口コミをチェックしてみましょう。
口コミの開示は顧客の許可が必要なため、お客様からの声が多い業者は、顧客満足度が高いといえます。
また、口コミは顧客とのやり取りや対応に対しても行われます。
塗装技術のみだけでなく、総合的に顧客が満足しているかどうかを知りたいときには、口コミを参考にすることをおすすめします。
ビルの外壁塗装の経験が豊富か確認する
優良業者を探す際は、ビルの外壁塗装の経験が豊富かどうかも確認しましょう。
ビルの外壁塗装の経験が豊富な業者は、顧客を継続して獲得できる優良業者の可能性が高いです。
また、経験豊富な業者は、塗装ノウハウや高い技術を持っているため、失敗が少ない傾向にあります。
反対に、外壁塗装の施工実績を開示しない業者はトラブルにつながる可能性が高いため、依頼は避けるべきといえます。
一般住宅とビルの外壁塗装ではノウハウが異なるため、自身の依頼と似たケースの施工実績が豊富かどうかを確認しましょう。
施工後の保証が充実しているか確認する
優良業者を探すためには、施工後の保証が充実しているかも確認しましょう。
施工後の保証が充実している業者は、顧客のことを第一に考えている優良企業です。
また、施工後の充実した保証は、工事の失敗がなく再施工にはならないという、技術力が高いからこその自信の表れともいえます。
ビルの外壁塗装の保証には、業者独自のサービスや「瑕疵(かし)保険」があります。
「瑕疵保険」とは、施工後に不備があった場合、第三者である保証会社が依頼人へ保険金を支払う制度です。
瑕疵保険に加入している業者は、第三者からのチェックを受けることになるため、品質は高い傾向にあります。
また、瑕疵保険では仮に業者が倒産してしまった場合でも、保証を受けられるのがメリットです。
ビルの外壁塗装は専門業者に依頼して美観と耐久性を向上させよう
ビルの外壁塗装は専門業者に依頼して、的確な工事を行うことが重要です。
的確に、丁寧に外壁塗装を行うことで、ビルの資産価値の向上や寿命を延ばすことにもつながります。
外壁塗装でビルの美観と耐久性を向上させるため、費用面や業者の技術力なども加味した上で優良な専門業者へ相談しましょう。
大規模修繕工事を依頼する業者の選び方は「大規模修繕の工事業者はどう選べばいい?会社の選び方や注意点を徹底解説!」をご覧ください。