2019.03.02
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)のメリット・デメリット。シリコン塗料以上ってホント?
こんにちは。マルキペイントの代表の及川です。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は最近、多く取り上げられるようになりました。
ただ、一般消費者の方たちのラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)の認識は間違っているようです。
「シリコン樹脂よりも耐久が高く最も良い塗料」のように思われている方も多くいるのではないでしょうか?
現に日本ペイントはシリコン樹脂塗料以上の塗料だと広告しています。
業者もそれに便乗して、同じことを言っている会社も多くあります。
まず、通常言われている、シリコン樹脂塗料やウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料のように、塗料の耐久性を表すものは樹脂を指して表現しています。しかし、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は樹脂ではないと言うことです。
では、どういったものを指してラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)と言っているのか?
今回は、まず、そういった仕組みやメーカーの宣伝戦略をお話ししたいと思います。
塗料の仕組み
塗料は大きく分けて、「顔料」という色の元と「樹脂」という耐久性を持たせるものがあります。それに加え添加剤のような樹脂の補助をするもので出来ています。
では、ラジカルとはどのようなものなのか。
それは顔料の中に、酸化チタンというものが入っています。この酸化チタンは白の顔料として使用しているのですが、酸化チタンに紫外線が当たることにより、発生する物質を「ラジカル」と言います。
是非ご覧ください!
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)はチョーキング現象を止める!
先ほどもお話ししたようにラジカルは塗膜の劣化や破壊を促進させます。このラジカルが発生することで、外壁に起こる現象がチョーキングです。
チョーキングとは、数年経った、お家の壁を触ると、白い粉(白くない場合もあります)が付きます。このことをチョーキングと言います。このチョーキングは塗膜劣化のサインとして考えられています。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)はこのチョーキングを起こしにくくする塗料として開発されたものになります。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)とは?
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)のメインとしてはまず、酸化チタンに特殊コーティングして、ラジカルを発生させないというもの。
先ほどもお話ししたように、ラジカルは酸化チタンに紫外線が当たることで発生します。ですから、そこに直接当たらないようコーティングしているのです。
また、もう1つはHALS(ハルス)というものを塗料に入れています。HALSは光安定剤とも言いますが、これを塗料に入れることで、紫外線をキャッチします。
基本的にラジカル制御型の原理としては、この2つの機能により、成り立っていると考えられます。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は色によって能力が変わる!?
この原理から考えると、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は色で機能が変わることになります。
先ほども、お話しした通り、酸化チタンは白の顔料です。
ですから、白の顔料をあまり使用しない、または全く使用しない塗料などは、特殊コーティングのバリアがないのです。
では、使用しない塗料とはどんな塗料でしょうか?
それは、原色と言われる、赤や黄色、青色などです。また、屋根塗料の黒なども酸化チタンは入っておりませんので、特殊コーティングでのラジカル制御型はないと考えられます。
その代わり、HALSを多く入れることで、制御能力を調整しているところはあると思います。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)の性質と樹脂の良さで塗料は選ぶ
結局のところ、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)とは、酸化チタンに特殊コーティングをしていることが、大きな役割と考えられます。そのことで、なるべく劣化を避けるという考え方なのでしょう。
しかし、私はラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)のことを調べ、1つ疑問に思ったことがありました。
それは・・・
「他の顔料(赤、青、黄色、黒など)は紫外線が当たることで、ラジカルは発生しないのか」と?
これを確認すべく、メーカーに問合わせてみると、他の顔料でもラジカルは発生するようです。ですから、HALSや紫外線吸収剤という添加剤などを入れ、ラジカルの発生を妨げているようです。
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は良い塗料ではありますが、万能塗料ではありません。ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)の性質と良質な樹脂塗料の比較で有為性が決まるということです。
3大塗料メーカーのラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は以下の通りです。
日本ペイント、パーフェクトトップ
SK化研、プレミアムシリコン
関西ペイント、ダイナミックトップ
この辺りの塗料は、1液水性シリコンタイプレベルと考えられます。
塗料メーカーの思惑
では、なぜメーカーはラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)をシリコン樹脂塗料以上と宣伝したのでしょうか?
これには、メーカー同士のマーケティング戦略があると考えられます。
最近では、一般的にシリコン塗料が主流となっています。メーカーからすれば、1番の売れ筋商品です。
また、塗料メーカーの悩みの問題としては、チョーキング劣化してしまうことでした。メーカーが謳っている耐久年数よりも早くチョーキングしてしまうことが、大きな問題となっていたようです。
そこで、日本ペイントは水性シリコンの市場を全て自社に向かわせるために、主流であるシリコン樹脂塗料より上という宣伝をしたと考えられます。
また、その後のクレームであるチョーキングが起きにくくなったため、劣化がはっきりと分からないラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)を、シリコン樹脂塗料以上を謳ったと考えられます。
さすが、大手塗料メーカーの戦略です。クレーム部分も改善し、さらには市場を取るための戦略だったのです。
このように、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)がチョーキング現象を大きく解消しましたが、必ずしも、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)の方がシリコン樹脂塗料より優れているということでは、無いのです!
私が個人的に塗料メーカーを選ぶ場合
私が好きな塗料メーカーですが、3大塗料メーカーの中で言えば、関西ペイントですね!やはり、関西ペイントの材料はすごく良いです。
どの塗料メーカーでも、不具合を起こすことはありまます。車で言えばリコールがよくあるように。
関西ペイントの場合、不具合の問題も、塗料が良質だから起こってしまったと言うケースがありました。そういったケースなども考えますと、関西ペイントの姿勢がよくわかります。
また、別の塗料メーカーで言えば、ロックペイントです。ロックペイントは技術者集団のような会社です。技術に重きを置いているので、セールスがヘタクソすぎなのです(笑)
例えば、今回取り上げた、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)がこんなにはやっている中、パーフェクトトップやダイナミックトップと同等の材料で、ハイパービルロックセラという材料があります。
これもラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)で酸化チタンに特殊コーティングやHALSも入れている塗料にも関わらず、全くラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)と謳っていないのです。
まとめ
「ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)は本当に良いのか?」と言うことですが、良い塗料だと思います。
しかし、良い塗料が独り歩きし、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)であれば、どの塗料よりも良いということではありません。
そのために、ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)というものの理解を深めていただき、適切な塗料選びをして頂ければ良いと感じています。
(執筆:株式会社マルキペイント代表取締役社長 及川正基)
ラジカル塗料の費用ついての関連記事:
30坪の外壁塗装における金額の目安
その他塗料の関連記事:
無機塗料のメリット・デメリット。フッ素塗料より高耐久って本当?
断熱塗料ガイナ体験談。「本当に良い塗料?」を取材体験してきました!
どんな遮熱塗料、断熱塗料が良いの? 効果のでる塗料は?遮熱、断熱塗料の選び方を教えます。
塗装の時期についての関連記事:
外壁、屋根塗替えの時期(目安)|こんな症状があったら要注意
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)の施工事例
ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)を使用した、弊社マルキペイントの施工事例をご覧ください。施工していく過程など細かく紹介させて頂いております。
-
埼玉県さいたま市大和田様邸 外壁はパーフェクトトップ 屋根はハイパーユメロックで
埼玉県さいたま市の大和田様邸です。洋風瓦がおしゃれで素敵ですね(*^_^*)ホームページのお問い合わせフォームよりお見積りのご依頼をいただいた・・・
続きを読む
-
埼玉県所沢市H様邸 外壁・屋根塗装の弊社スタンダード+ハイパーユメロックのハイグレード仕様
埼玉県所沢市H様邸です。H様邸の特徴は一部レンガ模様を取り入れた外壁。このような場合、レンガの模様を残すのか、レンガ模様を塗ってしまうのか・・・
続きを読む
-
埼玉県さいたま市W様邸 高耐候性塗料のアレスダイナミックTOP・ハイパーユメロックで塗り替え!
埼玉県さいたま市のW様より、外壁塗装・屋根塗装のご依頼をいただきました。ご近所のお家が次々と塗替え・・・
続きを読む
埼玉県坂戸市N様邸 屋根はガルバニウムカバー工法で葺き替え。傷んだ屋根を修復!外壁はダイナ・・・
坂戸市のN様より外壁塗装と屋根工事のご依頼を頂きました。N様はインターネットや看板をみて問い合わせしてくださいました。弊社に決めてくださった決め手は・・・
続きを読む