2019.06.30
どんな遮熱塗料、断熱塗料が良いの? 効果のでる塗料は?遮熱、断熱塗料の選び方を教えます。
こんにちは。マルキペイントの代表の及川です。
外壁塗装・屋根塗装の豆知識ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はどんな断熱塗料・遮熱塗料がいいのか、お話をしたいと思います。
1 遮熱塗料、断熱塗料ってどんなものがあるの?
遮熱塗料、断熱塗料は各メーカーで出しております。しかし、求める効果は大分差があるようです。一般ユーザーが求めるものは、室内にいても変化を感じることだと思います。
例えば、「エアコンを付けなくても大丈夫」もしくは「エアコンの効きが良い」など。
しかし、メーカーサイドでは違う考え方もあるようです。
遮熱効果をもたらすことで、塗膜の蓄熱を低下させ塗膜負担を軽減させるという目的です。
そうなると、一般ユーザーとは考え方が大きく変わってくるのではないでしょうか?
2 遮熱塗料、断熱塗料のメカニズム
遮熱塗料、断熱塗料のメカニズムは大きく分けて3種類です。まず、日本の大手メーカーが作っている遮熱塗料のお話を致します。
2-1 遮熱塗料1つ目
日本の大手メーカーの遮熱塗料は、トップコート(上塗り材)が色んな色を組み合わせて作っているということ。
一般の方もご存じかもしれませんが、色によって熱の吸収率が変わります。白色であれば、熱を反射しますので、熱吸収率はかなり低いです。しかし黒色であれば、熱を吸収しますので、かなり熱くなります。
特に屋根塗料は濃い色が多いので(黒や茶など)黒色に見せるように赤色や黄色、青色など混ぜ合わせ、色の反射で遮熱効果を出すというものです。
簡単な話、遮熱塗料じゃなくても、屋根に白色を塗れば、遮熱塗料よりも効果は出ることになります。このタイプの塗料ですと、一般ユーザーが求めるものではないと思います。また、このタイプの遮熱塗料は5、6年経過すると、弱い色が抜けていくので、大きく変色します。
私どもの会社でもこのタイプの遮熱塗料は出始めに使用していましたが、それ以降は使用しなくなったのは、このような理由からになります。
2-2 遮熱塗料2つ目
これも日本の大手メーカーが作っているもので、1つ目の遮熱塗料と考え方は同じです。
それは、中塗りに白色を塗るというタイプ。
上塗りの塗料はやはり色は着いていますが、紫外線を中塗りの白色まで通し、反射させるというもの。
これも、今となっては流行っていないタイプです。
大きな理由は手間がかかるということ。中塗りに白色を塗装し、さらに上塗りは紫外線通すタイプのものですので、仕上がりが悪く、上塗りも何度も塗装しなければならないということ。
また、そこまで手間をかけた割に、効果が低いということで、このタイプの塗装も最近では、やる業者が少なくなってきたと考えられます。
2-3 遮熱塗料3つ目
3つ目の遮熱塗料は(メーカーによって断熱塗料ともいう)塗料にセラミックが入っているタイプです。
これはセラミックが熱を反射させ蓄熱もさせません。
セラミックが熱量を持たせないのです。
例えば、同じ50度でもお風呂の50度とサウナの50度では違います。水は熱量を持つので、火傷しますが、空気は熱量を待たないので、90度まで行っても火傷することはありません。
セラミックが遮熱、断熱の効果をもたらせているのです。
また、メーカーによってはセラミックの代わりに、アクリルを使用しているものもあります。このタイプが良いのかどうかという部分は、難しいところです。
塗りたての場合、セラミックが入っているものと、変わらない効果が出ていますが、10年後はどうなのか疑問です。
イメージ的にはセラミックは無機質なので半永久的にそこにありますが、アクリルの場合、有機質ですので、劣化してしまうのではないかと考えられます。
現にセラミックタイプの塗料の場合は、10年たっても反射率は殆ど落ちていないそうです。ですから、10年経過しても塗りたての効果が持続できるのは、セラミックが入っている塗料になると考えて間違いないと思います。
3 実際にセラミックが入っている商品はどんなものがあるの?
私がおススメしたい商品は、アドグリーンコートとガイナです。
まず、アドグリーンコートからお話ししますと、この塗料は唯一、遮熱塗料の中でJISを取った商品だそうです。
JISとは日本工業規格は、工業標準化法に基づき、日本工業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準であり、日本の国家標準の一つであるとのこと。
詳しくはこちら JISC 日本工業標準調査会ホームページ
このアドグリーンの特徴としては、セラミックが一般的なものより小さく、遮熱効果と塗料としての性質も損なわないバランスの良い塗料に仕上げられているということ。
一般的なセラミックは20μ程度に対し、アドグリーンコートに入っている0.2μ~0.6μとかなり小さな新球のものです。
このセラミックを開発したのがトヨタ自動車系列の会社です。もともとは、パソコンなどの蓄熱を解消すべく作ったものらしいのですが、これを建築用塗料に開発したものがアドグリーンコートです。
小さいセラミック材料ですので、触った肌感も一般的な塗料と変わることが無く、色も多く選べます。先ほども言いましたが、遮熱効果と塗料としての性質を損なわない、バランスのよい塗料です。メーカーは工場などの大型物件に対応強化しているようですが、私個人的には戸建て住宅で遮熱を考えている方は、おススメです。
もう1つおススメなのが、断熱塗料ガイナです。
遮熱と断熱何が違うのか?と思った方もいるかもしれませんが、断熱の場合は暑さ対策だけでなく、寒さ対策にも適していて、工場のような大型の建物などは、年間通して光熱費が削減できるのが特徴となります。
ガイナの詳しい内容はこちらをお読みください。
断熱塗料ガイナ体験談。「本当に良い塗料?」を取材体験してきました!
ガイナの場合、セラミックがバルーン状になっており、通常のセラミックよりも軽くできているため、塗料の中に入っているセラミックが、表面に浮上します。
このことで、表面温度を低下出来ることと同時に、セラミックが紫外線を受け止めるので、塗膜劣化しにくいというのも特徴です。
また、アドグリーンコートはトヨタ自動車系列が開発したものに対し、ガイナはJAXAが開発したロケット技術がベースとなっています。
JAXAを詳しく知りたい方はこちら JAXA ホームページ
どちらにしても、信用が高い組織からの技術提供ですので、信頼は大きいのではないでしょうか?
ただ、ガイナには難点があります。それは、肌質が通常の塗料より、粗いため、フラット状の壁には適していません。また、セラミックが6割入っていることで、セラミックの白色が反映し、淡い色しか出ないという問題があります。
その代わり、セラミック量とセラミックが表面に浮上することでの断熱効果は大きいと考えて良いと思います。
遮熱、断熱効果と塗料としての性質を以下のように図にしてみました。
上記のグラフが私のイメージです。大手塗料メーカーが大事にしたい部分がやはり塗料としての品質です。当然塗料メーカーは塗料の品質を1番と考えますので、遮熱、断熱効果というものは2の次という考え方になります。
逆にガイナの場合、もともと塗料メーカーではない分、断熱性能を1番と考えた塗料を作ったと考えられます。ですから、色の部分や肌感の部分は若干、塗料としては落ちてしまいます。ですから、美観も重視したい方にはおススメできませんが、断熱効果を強く希望する方にはおススメです。
そして、アドグリーンコートはその両方をバランスよく取り入れた材料だと感じております。美観的なものと断熱効果両方を手に入れたい方にはおススメです。
いかがでしたでしょうか?お客様のところに行くと、「遮熱、断熱塗料ってどうなの?」または、「遮熱塗料で安くやってほしい」など言われることがあります。
遮熱や断熱塗料を一括りとして、考えられるのは当然なのですが、目的によって選ぶ材料が変わってきます。
しっかりと、自身の目的を業者に伝え、また、その目的を真摯に理解しようとする業者を選ぶことをおススメいたします。
(執筆:株式会社マルキペイント代表取締役社長 及川正基)
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